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〔武田軍:子孫、和解編〕


湊の、どこか幸村を思わせる強い眼差しに佐助ははぁ、と肩の力を抜いた。

「分かったよ旦那」

まったく、俺様疑うのが仕事なんだけどな〜。とぼやいて頬を掻いた佐助に泉は一人親近感を覚えた。

「むっ。信じてもらえたのか?」

首を傾げる湊の頭を幸村がぽんっと軽く叩く。

「もう大丈夫でござる」

にこりと笑った幸村に湊もかたじけない、と返しパッと明るい笑顔を浮かべた。

「子孫っていうより俺様の目には兄弟に見えるよ」

警戒を解いた佐助がやれやれと二人のやりとりに呆れた声を出して言った。

「俺もそう見える。幸村様が兄で旦那が弟。…はぁ、だから会わせたくなかったのに。先が思いやられる。俺の苦労が…」

泉も張り詰めていた空気を霧散させると佐助の言葉に失意気味に同意した。

「泉、だっけ?何か苦労してそうだねぇ」

苦笑する佐助にお互い様です、と言い泉も苦笑いを浮かべた。

「俺の苦労性って実は佐助様の遺伝だったりして…」

「なっ、失礼な事言うねぇ。それは仕える旦那が旦那だからだと思うよ」

「あぁ、うちの旦那が幸村様に似てるから俺も佐助様に似ちゃったのか」

「それも相当失礼な言いぐさだって気付いてるかな泉?」

あは、と愛想笑いで誤魔化して泉は幸村になついている湊の襟を掴んだ。

「旦那。もう遅いし話なら明日にしなよ」

憧れかつ目標である幸村を目の前に、一生懸命話かける湊は微笑ましくもあるが限度ってものがあるだろう。

「ん、そうだな。幸村様、明日もお話しできますか?」

「もちろん、いいでござるよ」

大きく頷いた幸村と手を振る佐助を残して二人は信玄に与えられた部屋へ戻った。



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